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ビッグデータがCMOとCIOの協力体制をつくる

あらゆるデジタル技術で人々がつながるいま、顧客中心の戦略は、ビジネスの明暗を分けるカギだ。しかし、その立案には、数々の困難が待ち受けている。マーケティング部門とIT部門の連携体制の実現も、容易ではないと言われてきた。しかしビッグデータは、そのような状況を変えるかもしれない。ビッグデータはすでに、カスタマー・エクスペリエンスやブランド価値を向上させるツールとして活用されている。つまり、マーケティングとIT部門間の緊張関係を解消し、部門を超えたコラボレーションを職場に定着させることで、企業文化そのものを大きく変える可能性を持っているのだ。

  1. 1ページ目 ビッグデータと部門を超えたコラボレーションの重要性
  2. 2ページ目 部門間の「縦割り志向」を打ち破る
  3. 3ページ目 2部門で1つのゴールを共有
  4. 4ページ目 CMOとCIO協力体制のベスト・プラクティス

Forrester ResearchのVP兼上級アナリスト、Sheryl Pattek氏は、「ビッグデータは、マーケティングとITの両部門の上級管理職の間で、最も注目される話題のひとつになりました」と語る。「注目が高まった最大の要因は、IT投資に起こった変化です。これまでのIT投資は、バックオフィス機能を対象にしていました。しかし最近の投資対象は、フロントオフィスに近い、顧客対応寄りの機能へと変化しています」(Pattek氏)

このような変化は、CIOとCMOの双方に影響を与えるだろう。

米国ボストン郊外にあるBentley大学で、マーケティング・テクノロジー・センター長を務めるIan Cross教授は、「ITとマーケティングはどちらも、企業の中で多大なプレッシャーにさらされている部門です。IT部門は、顧客に対するアプローチのように、バックオフィス向けにとどまらず、ビジネスを支える役割を要求されています。一方のマーケティング部門は、実際に企業の利益を増やして、その実力を証明しなくてはなりません」と語る。

市場競争にさらされている企業は、これまで続けてきたアプローチを変えざるをえなくなっている。市場をあっと驚かせるような新たな商品やビジネスを追求する立場を離れ、これからは科学や分析寄りの視点を重視し、少額の投資からでも確実にROIを上げなければならないのだ。

幸運にも、CIOとCMOが管轄するどちらの部門も、目標を達成するためにビッグデータと互いの協力が不可欠であることを理解している。

オーディオテクノロジーのパイオニア、Plantronics社のマーケティング部長兼CMOを務めるMarilyn Mersereau氏は、「ITとマーケティングの協力は、いわゆるお見合い結婚のようなものです」と話す。「もともと、両部門に共通点はほとんどありません。マーケティング部門の考え方はいわば“右脳型”で、一方のIT部門は“左脳型”だと思われがちです。しかし、結婚するまでお互いを良く知らなかった夫婦のように、想像していたよりも多くの共通点を見つけることで、互いをパートナーとして認め、受け入れるときが来ます」(Mersereau氏)

Mersereau氏自身、Plantronics社のCIOをはじめ、IT部門と良好なパートナー関係を築いていると語る。「弊社では、マーケティング部門が技術的な課題にぶつかると、必要なツールの購買判断をIT部門に委託します。バックエンドと統合可能なツールかどうかを確認してもらうのです」(Mersereau氏)

Plantronics社では最近、顧客や顧客行動への理解を促進するツールの導入を検討している。Mersereau氏は、「データ分析は、顧客行動の予測を可能にしました。これによりPlantronicsでは、人々がWebサイトを訪問するタイミングを見極め、彼らが求めるコンテンツを事前に用意できるようになりました」と語る。同社では近年、ソーシャルメディア・マーケティングに力を入れはじめたことで、IT部門が重要な役割を果たすようになり、ソーシャルメディアからのデータ集約と分析を可能にする方法を模索していた。

「Plantronicsにおいて、マーケティング部門がソーシャルメディア向けモニタリングツールの導入を検討した際に、IT部門は重要な補佐役を務めました。おかげで、導入候補の中から、社内のCRMアプリケーションと相性が良く、ソーシャルメディアを通じた顧客とのやり取りを、次世代製品の企画や、顧客サポートなどのアフターサービスの改善に生かせるツールを見つけ出すことができました」(Mersereau氏)

モバイル版ランディングページやeコマースサイトを訪問した顧客のデータから、次の戦略に生かせるような洞察を引き出す。このことは、ビッグデータにかけられた大きな期待のひとつだ。

Bentray大学のIan Cross教授は、「たとえば、自社製品の販売データを少なくとも1年~3年にわたって集約し、各顧客の行動や、購入に使った金額を詳細に解明してから、心理的変数や人口統計にもとづき、行動別にセグメントします。そうすれば、顧客が次に取る行動について、予測モデルを作成できます」と話す。

部門間の「縦割り志向」を打ち破る  

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